2023.7.19

五大栄養素はどんな栄養素なの?

五大栄養素とは

食品に含まれている体にとって欠かせない栄養素です

耳にすることが多い五大栄養素とは、「炭水化物(糖質)」「脂質」「たんぱく質」「ビタミン」「ミネラル」です。五大栄養素と呼ばれるそれぞれの栄養素には、それぞれの働きがあります。毎日の食生活で偏ることなく、バランスよく摂取することで健康な体を維持するために役立ちます。まずは体に必要な栄養素を知る意味でも、五大栄養素とはどんな栄養素なのかをまずは知ってみてください。それぞれの働きや摂取のポイントなど、ポイントを知ることから健康維持を意識してください。

【炭水化物(糖質)】

炭水化物は体のエネルギー源となる栄養素です。「糖質」と「食物繊維」で構成されています。

エネルギーをつくり出す栄養素は炭水化物のほか、脂質とたんぱく質がありますが、どの栄養素よりも素早くエネルギーに変わり、人間の体を動かす力となってくれるのが糖質でです。
食事から摂取された炭水化物は消化・吸収され、脳や筋肉などさまざまな組織のエネルギー源として利用されます。そのため、炭水化物の不足はエネルギー不足につながり、疲労を感じやすくなったり集中力が落ちてしまったりする原因となリます。

炭水化物を多く含む食品は、米やパン、麺などの穀類やいも類、果実類、砂糖や甘味類などです。
炭水化物や糖質といえばダイエット中の方には敬遠されがちな栄養素として有名ですが、体には不可欠な栄養素なのです。

【脂質】

炭水化物と同様にエネルギー産生栄養素の一つが脂質です。脂質は1g当たり約9kcalと効率よくエネルギーをつくり出します。また、脂質はエネルギー源となる他、細胞膜やホルモンを構成したり脂溶性ビタミンの吸収を助けたり、体の保温に役立ったりしています。

脂質を構成している成分「脂肪酸」には、大きく分けると「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があり、それぞれに性質が異なります。

不飽和脂肪酸は「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分類され、多価不飽和脂肪酸はさらに「n-6系脂肪酸」と「n-3系脂肪酸」に分けられます。
飽和脂肪酸は体内で合成することができますが、不飽和脂肪酸のうちの多価不飽和脂肪酸は体内では合成できないため、食べ物からの摂取が必要です。
飽和脂肪酸を摂り過ぎると悪玉コレステロールの血中濃度を上昇させることが知られていますが、多価不飽和脂肪酸には対照的な作用、つまり悪玉コレステロールを低下させる作用があります。
飽和脂肪酸は主に肉類や乳製品などの動物性脂肪に、多価不飽和脂肪酸は青魚や植物油などに含まれています。
量だけではなく、「質」に注目して脂質を摂取することが重要です。

【たんぱく質】

たんぱく質は主に筋肉や臓器など体をつくるもととなる栄養素です。たんぱく質も1g当たりおよそ4kcalをつくり出すエネルギー産生栄養素のひとつですが、炭水化物と脂質が不足してしまったときにエネルギー源として使われるようになります。

食事から摂取されたたんぱく質は消化・吸収を経て筋肉や内臓、皮膚、髪の毛などの材料となったり体の機能を調節するホルモンや酵素の成分となったりします。

たんぱく質を多く含む食べ物は肉類や魚類、乳類、卵類、豆類などです。
不足すると筋肉量の減少や筋力の低下を招きますが、過剰摂取もカロリーオーバーによる肥満や腸内環境の悪化につながることがあります。バランス良く摂取しましょう。

【ビタミン】

ビタミンは人間の体の機能を維持するのに欠かせない代表的な栄養素です。多くのビタミンは体内で合成できないため、食べ物から摂取しなければいけません。ビタミンには「脂溶性ビタミン」と「水溶性ビタミン」があります。

水に溶けない性質を持つ脂溶性ビタミンはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKです。一方、水溶性ビタミンにはビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸)、ビタミンCが該当します。一般的な食事を摂っていれば欠乏する心配はあまりありませんが、偏った食事などにより不足を招き体調不良などの原因となる場合もあります。それぞれのビタミンの主な働きと含まれる食品例の一覧です。

  • ●『ビタミンA』目や皮膚の健康維持、抗酸化作用「レバー、緑黄色野菜、魚介類」
  • ●『ビタミンD』骨の健康維持「きのこ類、魚介類」
  • ●『ビタミンE』抗酸化作用「ナッツ類、魚介類、植物油、魚卵」
  • ●『ビタミンK』血液凝固、骨の形成に関与「豆類(納豆)、海藻類 、緑色の濃い野菜」
  • ●『ビタミンC』抗酸化作用、コラーゲン生成に必須「野菜類、いも類、果実類」
  • ●『ビタミンB1』糖代謝に関与、皮膚や粘膜の健康維持「穀類、豆類、肉類(豚肉)」
  • ●『ビタミンB2』脂質代謝に関与、皮膚や粘膜の保護「レバー、アーモンド、うなぎ、納豆、卵」
  • ●『ビタミンB6』アミノ酸の代謝に関与「まぐろ、かつお、豚ヒレ肉、鶏むね肉」
  • ●『ビタミンB12』アミノ酸や脂質などの代謝に関与「レバー、あさり、しじみ」
  • ●『ナイアシン』糖、たんぱく質、脂質の代謝に関与「たらこ、まぐろ、かつお、落花生」
  • ●『葉酸』赤血球の生成に関与「レバー、枝豆、グリーンアスパラ」
  • ●『パントテン酸』脂質の代謝に関与「レバー、納豆、たらこ、鶏むね肉」
  • ●『ビオチン』アミノ酸や脂質の代謝に関与「レバー、落花生、アーモンド、卵」

【ミネラル】

ビタミン同様、体の機能を正常に保つために必要なのがミネラルです。ミネラルは「無機質」と呼ばれることもあります。

体内で合成することができないため食べ物から摂取する必要があり、不足したり過剰摂取したりした場合には、体に不調が起こることがあります。ミネラルはそれぞれが互いに影響を与えながら作用しているため、偏ることなく摂取することが大切です。それぞれのミネラルの主な働きと含まれる食品例の一覧です。

  • ●『ナトリウム』体の水分バランス、細胞内外の浸透圧の調整「食塩および食塩を含む加工食品」
  • ●『カリウム』細胞の浸透圧の維持、神経伝達、筋肉収縮「いも類、野菜類、果実類、海藻類」
  • ●『カルシウム』骨の形成、骨や歯の材料「魚介類、大豆製品、乳類」
  • ●『マグネシウム』体内の代謝に関与、骨の健康維持「豆類、ナッツ類、魚介類」
  • ●『リン』エネルギーや脂質の代謝に関与「穀類、豆類、魚介類、卵類、乳類」
  • ●『鉄』ヘモグロビンとして酸素の運搬などに関与「あさり、のり、青菜、赤身肉、豆類」
  • ●『亜鉛』細胞の成長や分化に関与「牡蠣、穀類、ナッツ類、肉類」
  • ●『銅』たんぱく質と結合し多くの代謝に関与「牛レバー、豆類、ナッツ類、魚介類」
  • ●『マンガン』酵素の活性化に関与「穀類、ナッツ類」
  •     

  • ●『ヨウ素』甲状腺ホルモンの材料「海藻類、魚介類」
  • ●『セレン』抗酸化反応に関与「魚介類、肉類」
  • ●『クロム』糖質やコレステロールの代謝に関与「大豆製品、海藻類、魚介類、肉類」
  • ●『モリブデン』腎臓や肝臓ではたらく酵素の材料「レバー、穀類、豆類、ナッツ類」

【五大栄養素はバランス良く摂りましょう】

このように五大栄養素とは、食べ物に含まれる「炭水化物(糖質)」「脂質」「たんぱく質」「ビタミン」「ミネラル」のことを指します。

これらの栄養素のうち、人間の生命維持に欠かせないエネルギーをつくり出すもとになっているのが、主に炭水化物(糖質)と脂質です。また筋肉や骨など体の組織をつくる栄養素はたんぱく質とミネラル、体の機能を正常に保ち体調を整えるのはビタミンやミネラルです。何の食品から摂取するのが効果的なのかを考えてください。

これら五大栄養素は健康維持に必要な「バランスの良い食事」の基本となるため、バランスの良い食事を心掛けることは五大栄養素の摂取につながります。健康に過ごすためにも、五大栄養素をしっかり摂取できるバランスの良い食事を目指してみてください。そして、食事の時間やどのような環境なのか、食事の量もよく考えて健康的な生活を送りましょう。