栄養管理していますか?
健全な食習慣から健康を意識する
健康な生活を目指しましょう
最近の研究では、近い将来、日本の健康寿命は107歳になるとも予想されています。明治維新の頃は人生50年が定説でしたが、約150年間で寿命は2倍も延びました。もちろん、医学の進歩もあります。
食事の西洋化などによる栄養の改善が大きいと考えられる一方で、日本人に合う栄養価の高い食事も求められています。体に入れるものは、体に良いものであって欲しいと思います。
やはり食事が重要なのです。自分が好きなものだけ食べて、偏った栄養を摂るのではなく、自分の健康のために栄養管理しませんか。
高齢者の低栄養の問題が注目されています。低栄養はエネルギー摂取不足とたんぱく質摂取量不足の2つのタイプに分けられますが、高齢者の場合、ほとんどは両方が不足している混合型です。さらに高齢になってから、切り傷などの治りが遅くなったと思いませんか?
これは、食事で摂取したたんぱく質から筋たんぱく質を合成する量と速度が低下しているからです。こうした体の機能の変化も手伝って、高齢者は低栄養になりやすいのです。体に必要な栄養素を摂取してください。
低栄養は冷え、むくみ、疲れやすさなどの生理的な変化ばかりではなく、理解力や集中力の低下、無気力、イライラ感の増加といった精神状態にも影響を及ぼすことがあります。意図しない体重減少が過去6カ月間で5%以上または6カ月以上で10%以上ある場合などは気を付ける方がいいです。
【栄養管理とは】
栄養管理とは、対象とする個人(集団)に適正な栄養目標量に基づいて食事をすることであり病院給食において、治療食では医師の食事指示や疾患に定められた基準に従って治療に効果を有する食事、一般食では食事摂取基準を適用し、食事と健康の関係を認識させ、入院中はもちろん、退院後の食生活においても健康にとって望ましい食物選択能力を促す栄養教育を行い、健全な食習慣をもたらすことを目的としています。
栄養管理に大切なことは食べることです。食べることは、人間が生きるために必要な栄養の質と量を充足することです。食事を十分に摂っていても、からだに必要な栄養素が足りていない場合もあります。毎日3食をしっかり、バランスよく食べて、健康的な食生活を目指しましょう。
【栄養失調になると】
体重減少や筋力低下、骨密度の低下や貧血などにつながります。そのほか、免疫が低下して感染症にかかりやすくなったり、寒さを感じやすかったり、ぼんやりするといった症状が現れます。
女性であれば月経周期の乱れや無月経の状態になることもあります。若い女性の栄養失調は、将来の妊娠や出産に影響することもあります。
栄養失調の主な要因は、食事の摂取不足、栄養バランスの悪い食事、消化・吸収障害、代謝障害、心理的な要因による摂食障害です。
規則正しい生活を心がけて、バランスの良い食事をするようにしましょう。また、栄養知識を正しく持ち偏った食事をすることのないようにしましょう。
極端なダイエットや下剤の乱用、神経性の食欲不振、栄養バランスの悪い食生活が主な原因にもなります。
特に神経性の食欲不振(摂食障害)は、10歳前から30歳くらいの思春期から青年期の女性に多くみられます。10代の成長期に栄養失調となり月経が来なくなったりすると、子宮の発育に影響し、将来的に妊娠や出産に悪影響がでることもあります。
【栄養失調の予防と改善】
バランスの良い食事をしましょう。1日の食事で、主食(パンやご飯など)、副菜(野菜を含むおかずなど)、主菜(肉や魚など)、牛乳・乳製品、果物を適量にまんべんなく食べる意識をしましょう。
朝食にパンやご飯といった炭水化物だけを摂るのではなく、ゆで卵やハム、トマトやバナナ、ヨーグルト、野菜ジュースなどをプラスして、栄養のバランスを整えましょう。おにぎりやパンを買って食べるにしても、たんぱく質を多く含む具材を選ぶのも良い方法です。大切なことは偏らないバランスの良い食事です。
体を適度に動かす習慣をつけることも大切です。
体に負担のない程度で体を動かすことで、筋力トレーニングにもなり、怪我の予防にもなります。
【体に必要な栄養素】
〔1〕炭水化物:体のエネルギー源になります。
炭水化物は、糖質と食物繊維で構成されています。特に糖質は、筋肉や肝臓にグリコーゲンの形で蓄えられてカラダを動かすときのエネルギー源になったり、血糖として脳や神経のエネルギーになったりします。
つまり、運動する人のエンジンとなる栄養素です。ご飯やパンなど穀類などは、ゆっくり吸収され、血糖値の急激な上昇がなく維持されやすいことから日常のエネルギー補給に有効です。
〔2〕タンパク質:筋肉・骨・血液・内臓などを作ります。
タンパク質は、筋肉や骨、血液、内臓などカラダを構成する成分でアミノ酸からできています。摂取したタンパク質はアミノ酸に分解されて吸収され、体内で再び必要なタンパク質に合成されます。
食品としては肉、魚、卵、大豆、大豆製品、乳製品があり、それぞれに含まれるアミノ酸の種類や数、組み合わせ方が異なります。タンパク質は1種類でもアミノ酸が不足すると合成できないため、偏りなく、いろいろな食品からアミノ酸を摂ることが大切です。
また、タンパク質は運動後できるだけ早く摂ると筋肉や組織に合成されやすいため、すぐに食事ができない場合は補食(間食)で補うようにしましょう。
〔3〕脂質:効率のいいのエネルギー源になります。
脂質は、エネルギー源として重要な成分です。1gあたり9kcalと少ない量で多くのエネルギーを蓄えることができます。運動時間が長くなると脂質を主に利用します。また、エネルギー源以外にも細胞膜やホルモンの材料になったり、脂溶性ビタミンの吸収を助けたりする働きがあります。
食品に含まれる脂質は主に脂肪酸から構成されており、その種類によって働きが異なります。肉やバターなどに多く含まれる飽和脂肪酸やオリーブ油や菜種油に多く含まれる一価不飽和脂肪酸は、主にエネルギー源として利用されます。
魚油やシソ油、アマニ油に多く含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸は必須脂肪酸で、血液をサラサラにしたり、脳神経機能の発達に関わっていたりします。それぞれの脂肪酸をバランスよく摂っていくことが大切です。
〔4〕ビタミン:体の調子を整え、生命維持に欠かせません。
ビタミンは、体内のさまざまな機能を調整する働きを持ち、生命維持に欠かせない成分です。しかし、体内でつくりだすことができないため、食品から摂取する必要があります。
ビタミンB1は糖質、ビタミンB2は糖質と脂質をエネルギーにするときに必要なビタミンです。ビタミンB6はタンパク質やアミノ酸の代謝に関わり、タンパク質摂取量に応じて必要量が増加します。
ビタミンA、C、Eは抗酸化作用があり、細胞の炎症や免疫力の低下を防ぎます。
〔5〕ミネラル:骨・血液などを作り、筋肉や神経の伝達に関わります。
ミネラルは無機質ともいい、体組織の構成成分、神経や筋肉の興奮、体液の調節、骨代謝、貧血などに関係します。
代表的なミネラルには鉄、カルシウム、ナトリウム、亜鉛、マグネシウムなどがあります。ミネラルは欠乏症だけでなく過剰症も起こるため、たくさん摂れば良いというものではありません。
自分のカラダにあわせながら、偏ることなく適度に摂ることを心がけましょう。ミネラルの主な働きは次の通りです。
①骨や歯の成分②体液の調節や神経・筋肉の機能維持③酵素の材料④貧血の予防
こちらの5つの栄養素をバランスよく摂取することを心がけましょう。。